環境測定・分析
悪臭調査
工場・事業場から発生する悪臭は「臭気指数」あるいは「特定悪臭物質濃度」で規制されています。臭気の複合臭が評価できることから、最近は「臭気指数」規制を導入する自治体が増えています。この「臭気指数」を算出するための「臭気試験」についての当社の取り組みをご紹介します。
臭気試験の取組み
1. はじめに
臭気測定は時間との勝負です。臭気成分は時間とともに変化します。時間を空けすぎると、現地の臭気と異なる結果を報告する可能性があります。そのため、当社では採取してから24時間以内に臭気測定を実施することにしています。
2. 準備
臭気測定のご依頼があった場合、現地でサンプリングを行う者、臭気判定士、パネル(臭気試験にあたる者:6名必要)のスケジュールを調整し、24時間以内に臭気試験が実施できるようにします。
3. 採取
当日の風向きにより、臭気が流れていく方向は刻々と変化します。そのため、敷地境界で臭気を採取する場合、まずは敷地境界線上を歩き、臭気が強いポイントを特定します。臭気の強いポイントが特定できたら、その場所の空気を採取します。採取に時間をかけると、臭気が別の方向に流れていくことがあります。そうなる前に、採取は減圧容器を使って一瞬で終わらせます。採取が終わったら、すぐに臭気試験ができるように帰社します。遠方の場合や多数の試料がある場合、チャーター便で採取した試料を運搬することもあります。
4. 臭気試験
採取試料を持ち帰ると、すぐに臭気試験に取り掛かります。臭気判定士は試料と無臭空気を用意し、パネルに臭気を判定してもらいます。臭気の強い試料をパネルに嗅いでもらうと、パネルの嗅覚が落ちてしまいます。そうならないように臭気判定士は試料を希釈し、何の臭気か判別できる程度の試料を最初の試料として調製します。パネルが試料を判別できたら、さらに10倍に希釈した試料を調製し、再びパネルに判定してもらいます。これを繰り返し、パネルが判別できなくなった時点で臭気試験は終了します。
5. お客様への報告
臭気試験が終われば、臭気指数を算出します。その後、規制基準との対比評価を行います。規制基準は条例で定められていますので、市町村のホームページで確認します。それでも不明な場合は、直接電話で市役所などに問合せます。
6. おわりに
臭気試験は人間の嗅覚に頼る試験です。嗅覚はとても敏感で、変動しやすいものです。そのため、信頼性の確保が必要になります。臭気試験の信頼性確保のため、当社では以下のことに取組んでいます。
- 臭気認定事業所を取得
- (社)におい・かおり環境協会が主催するクロスチェックに参加
- 内部精度管理用プッシュ缶による自己管理
- 臭気判定士の確保(関西事業所5名、中部事業所5名在籍中)
業務案内
1. 測定対象
- (1)敷地境界線上の臭気
- (2)排出口(脱臭装置や煙突)の臭気
- (3)排出水の臭気
2. 測定項目
(1)臭気
- 臭気指数、臭気濃度、臭気強度
(2)特定悪臭物質
- アンモニア
- 硫黄化合物(メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル)
- トリメチルアミン
- アルデヒド類(アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド)
- 有機溶剤(イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、スチレン)
- 低級脂肪酸類(プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸)
[分光光度計]
アンモニア
[ガスクロマトグラフ]
アルデヒト類 他
[ガスロマトグラフ]
硫黄化合物 他