作業環境測定
作業環境測定とは「労働安全衛生法」に基づいて、作業場における労働者の健康障害を未然に防止するため、作業環境中に有害因子(粉じん・有機溶剤・特定化学物質・金属類等)がどの程度存在するのかを測定し、その評価を行うものです。
事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、その結果を記録しておかなければなりません。
なお、指定作業場の作業環境測定は、作業環境測定士が行わなければなりません。
測定の対象
- 粉じん(粉じん則26条)
- 有機溶剤(有機則28条)
- 石綿(石綿則36条)
- 騒音(安衛則590・591条)
- 特定化学物質(特化則36条)
- ダイオキシン類(基発401号の2)
作業環境測定は、測定のデザイン、サンプリング、分析、評価の4つの行程によって実施されます。
デザイン
作業場の種類や作業の内容に応じて、測定項目、測定を行う位置、測定点数などのデザインを行います。
作業環境測定を行うべき場所と測定の種類等
作業環境測定を行うべき作業場 | 測定 | ||||||
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作業場の種類 (労働安全衛生法施行令第21条) |
関係規則 | 測定の種類 | 測定回数 | 記録の 保存年数 |
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(1)* | 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場 | 粉じん則26条 | 空気中の濃度及び粉じん中の遊離けい酸含有率 | 6月以内 ごとに1回 |
7年間 | ||
(2) | 暑熱・寒冷又は多湿の屋内作業 | 安衛則607条 | 気温、湿度及びふく射熱 | 半月以内 ごとに1回 |
3年間 | ||
(3) | 著しい騒音を発する屋内作業場 | 安衛則590、591条 | 等価騒音レベル | 6月以内 ごとに1回 (注1) |
3年間 | ||
(4) | 坑内の作業場 | イ | 炭酸ガスが停滞する作業場 | 安衛則592条 | 炭酸ガスの濃度 | 1月以内 ごとに1回 |
3年間 |
ロ | 28℃を超える、又は超えるおそれのある作業場 | 安衛則612条 | 気温 | 半月以内 ごとに1回 |
3年間 | ||
ハ | 通気設備のある作業場 | 安衛則603条 | 通気量 | 半月以内 ごとに1回 |
3年間 | ||
(5) | 中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で、事務所の用に供されるもの | 事務所則7条 | 一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率、室温及び外気温、相対湿度 | 2月以内 ごとに1回 (注2) |
3年間 | ||
(6) | 放射線業務を行う作業場 | イ | 放射線業務を行う管理区域 | 電離則54条 | 外部放射線による線量当量率 | 1月以内 ごとに1回 (注3) |
5年間 |
ロ *1 |
放射性物質取扱作業室 | 電離則55条 | 空気中の放射性物質の濃度 | 1月以内 ごとに1回 |
5年間 | ||
ハ | 坑内の核燃料物質の採掘の業務を行う作業場 | ||||||
(7)* | 特定化学物質(第1類物質又は第2類物質)を製造し、又は取り扱う屋内作業場等 | 特化則36条 | 第1類物質又は第2類物質の空気中の濃度 | 6月以内 ごとに1回 |
3年間(特定の物質については30年間) | ||
(8)* | 石綿等を取扱い、若しくは試験研究のため製造する屋内作業場 | 石綿則36条 | 石綿の空気中における濃度 | 6月以内 ごとに1回 |
40年間 | ||
(9)* | 一定の鉛業務を行う屋内作業場 | 鉛則52条 | 空気中の鉛の濃度 | 1年以内 ごとに1回 |
3年間 | ||
(10) | 酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場 | 酸欠則3条 | 第1種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、空気中の酸素の濃度 | 作業開始前等ごと | 3年間 | ||
第2種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、空気中の酸素及び硫化水素の濃度 | 作業開始前等ごと | 3年間 | |||||
(11)* | 有機溶剤(第1種有機溶剤又は第2種有機溶剤)を製造し、又は取り扱う屋内作業場 | 有機則28条 | 当該有機溶剤の濃度 | 6月以内 ごとに1回 |
3年間 |
- *
- 作業環境測定士による測定が義務付けられている指定作業場であることを示す。
なお、(9)酸素欠乏危険場所については、酸素欠乏危険作業主任者(第2種酸素欠乏危険作業にあっては、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者)に行わせなければならない。
- (注1)
- 設備を変更し、又は作業工程若しくは作業方法を変更した場合には、遅滞なく、等価騒音レベルを測定しなければならない。
- (注2)
- 測定を行おうとする日の属する年の前年1年間において、室の気温が17度以上28度以下及び相対湿度が40%以上70%以下である状況が継続し、かつ、測定を行おうとする日の属する1年間において、引き続き当該状況が継続しないおそれがない場合には、室温 及び外気温並びに相対湿度については、3月から5月までの期間又は9月から11月までの期間、6月から8月までの期間及び12月から2月までの期間ごとに1回の測定とすることができる。
- (注3)
- 放射線装置を固定して使用する場合において使用の方法及び遮へい物の位置が一定しているとき、又は3.7ギガベクレル以下の放射性物質を装備している機器を使用するときは、6月以内ごとに1回。
サンプリング
測定項目によってサンプリング装置を使い分けて試料の採取を行います。
ダイオキシン類
ダイオキシン類(拡大)
アスベスト
粉じん
有機溶剤
騒音
分析
採取した試料を試験室に持ち帰り、分析を行います。
ガスクロマトグラフ分析装置
高速液体クロマトグラフ分析装置
ガスクロマトグラフー質量分析装置
評価
分析の結果に基づいて、作業場の評価を行います。
管理区分 | 評価内容 (単位作業場所の状態) |
措置内容 |
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第1管理区分 | 作業環境が適切であると判断される状態 | 現在の作業環境管理の継続維持に努めてください。 |
第2管理区分 | 作業環境になお改善の余地があると判断される状態 | 施設、設備、作業工程、作業方法の点検を行い、その結果に 基づき、必要な措置を講じるように努めてください。 |
第3管理区分 | 作業環境が適切でないと判断される状態 | ・労働者に呼吸用保護具を使用させ、健康診断など健康保持に必要な措置を講じてください。 ・施設、設備、作業工程、作業方法の点検を行い、その結果に基づき、必要な措置を講じてください。 |
Q:検知管での測定は認められていますか?
作業環境測定基準では、いくつかの条件付でより安価な検知管法の適用が認められています。
例えば、ホルムアルデヒド、シクロヘキサノン、二硫化炭素、トルエンなどは、作業場に共存する妨害物質の影響の恐れがない場合に限り、簡易測定機器(検知管又はこれと同等以上の性能を有する測定機器)による測定が認められています。